日本の社会保険制度に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
- 加入は、個人が選択できる。
- 保険料だけで運営され、公費負担は行われない。
- 医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険,介護保険の5つである。
- 給付の形態は、現金給付に限られる。
- 保険料は、加入者個人のリスクに見合った額になる
答えは3番よ
1x社会保険は、一定の要件に該当する場合には加入が義務づけられる強制保険である。個人が選択できないことから適切ではない。
2保険料だけで運営されるわけではなく、公費負担もあることから適切ではない。
3 日本の社会保険制度は、医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の5つであり適切である。
4給付形態には、現金給付だけでなく現物給付(医療や介護等の専門的なサービスの提供,介護機器等の物品提供。住居の提供等)もあることから適切ではない。
5 x例えば、医療保険は病気がちかどうかなどのリスクによって保険料が決まるわけではなく、この考え方は他の保険でも同じである。よって適切ではない
わが国の社会保障制度の基本となる,1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会による「社会保障制度に関する勧告」の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 生活困窮者自立支援法の制定の提言
- 社会保障制度を、社会保険、国家扶助、公衆衛生及び医療,社会福祉で構成
- 介護保険制度の創設の提言
- 保育所の待機児童ゼロ作戦の提言
- 介護分野におけるICT等の活用とビッグデータの整備
答えは2番よ
1生活困窮者自立支援法は、2013(平成25)年1月の社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の提言から始まっている。同法は2013(平成25)年成立、2015(平成27) 年施行された。
2 1950(昭和25)年の勧告では日本国憲法第25条に基づき、社会保障の範囲、方法,定義及び公的責任等を規定した。
3 介護保険制度の創設は、1994(平成6)年の「高齢社会福祉ビジョン懇談会」の報告で「21世紀に向けた介護システムの構築」が提言されたことから始まる。介護保険法は1997(平成9)
年成立,2000(平成12)年に施行された。
4保育所の待機児童ゼロ作戦は、2001(平成13)年小泉内閣によって掲げられた。
52016(平成28)年「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」によって、介護分野における
ICT等の活用とビッグデータの整備が提言された。
解説
社会保障制度に関する2つの重要な問題について、補足説明をさせていただきます。
1つ目の問題は日本の社会保険制度の基本的な特徴を問うものです。特に重要なポイントは:
– 社会保険は「強制加入」が原則で、これは社会保険制度の根幹を支える重要な特徴です
– 財源は「保険料と公費負担の組み合わせ」で運営されています
– 給付には「現金給付と現物給付」の2種類があり、特に医療保険における診療行為などの現物給付は重要な特徴です
– 保険料は「収入に応じた負担」が原則で、個人のリスクによる差別化は行いません
– 5つの保険制度(医療、年金、雇用、労災、介護)が相互に補完し合って国民生活を守る体制を作っています
2つ目の問題は、日本の社会保障制度の基礎となった1950年の勧告についてです。この勧告の重要性は:
– 戦後の社会保障制度の青写真を示した歴史的な文書である点
– 日本国憲法第25条(生存権)の理念を具体化した点
– 社会保障を4つの柱(社会保険、国家扶助、公衆衛生・医療、社会福祉)で体系化した点
– その後の社会保障制度の発展の基礎となった点
これらの内容は、現代の社会保障制度を理解する上で基礎となる重要な知識です。
コメント