社会保障給付費(介護福祉士試験)

介護福祉士試験

【問題1】
1~5の記述について、○×で答えなさい。

1. 後期高齢者医療制度の財源で最も割合が大きいのは公費(5割)であり、次いで現役世代の負担(4割)となっている。

2. 社会保障給付費の財源では、毎年、社会保険料が最も大きく、この傾向は変わっていない。

3. 生活保護費の財源は全て税であり、国と自治体が負担している。社会保険料は財源ではない。

4. 2023(令和5)年度予算では社会保障関係費が一般会計予算の32.3%を占めている。

5. 2023(令和5)年度では、社会保障給付費で最も構成割合が大きいのは年金(44.8%)であり、次いで医療費(31.0%)である。この順位はその後も同じである。

【解答・解説】
1. ×
この記述自体が間違っています。後期高齢者医療制度の財源構成は、公費が5割、現役世代の支援金が約4割を占めており、残りが高齢者の保険料となっています。

2. ×
正しい説明です。社会保障給付費の財源において、社会保険料の占める割合が最も大きく、この傾向は長年継続しています。

3. ×
この記述は正確です。生活保護費は全額が税財源で賄われており、その負担は国と地方自治体で分担されています。社会保険料は財源として使用されていません。

4. ○
正確な数値です。2023年度の一般会計予算において、社会保障関係費は32.3%を占めており、これは予算の中で最大の支出項目となっています。

5. ×
この説明は正確です。社会保障給付費の内訳では、年金給付が44.8%と最大のシェアを占め、次いで医療給付が31.0%となっています。この順序は安定的に継続しています。

【詳細解説】
この問題は社会保障制度の財政構造について、複数の視点から理解を問うものです:

1. 財源構成の理解
– 後期高齢者医療制度:公費(5割)、現役世代負担(4割)、高齢者の保険料(1割)
– 社会保障全体:社会保険料が主要財源
– 生活保護:全額税財源

2. 予算規模の把握
– 社会保障関係費が一般会計予算の約3分の1を占める
– この比率(32.3%)は国の財政における社会保障の重要性を示す指標

3. 給付構造の理解
– 年金給付が最大(44.8%)
– 医療給付が次点(31.0%)
– この構造は安定的に継続

4. 制度間の関連性
– 各制度で財源構成が異なる
– 税、保険料、公費の組み合わせ方が制度ごとに特徴的

【重要ポイント】
1. 社会保障の財源は「社会保険料」「税」「公費」の3つの要素で構成
2. 制度によって財源構成が大きく異なる
3. 給付面では年金が最大項目
4. 予算全体に占める比重が極めて大きい

この理解は、日本の社会保障制度の現状把握や将来の課題検討において重要な基礎知識となります。


【問題】
日本の社会保障制度の歴史に関する以下の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1. 生活困窮者自立支援法は、2013(平成25)年1月の社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の提言から始まっている。同法は2013(平成25)年成立、2015(平成27)年施行された。

2. 1950(昭和25)年の勧告では日本国憲法第25条に基づき、社会保障の範囲、方法、定義及び公的責任等を規定した。

3. 介護保険制度の創設は、1994(平成6)年の「高齢社会福祉ビジョン懇談会」の報告で「21世紀に向けた介護システムの構築」が提言されたことから始まる。介護保険法は1997(平成9)年成立、2000(平成12)年に施行された。

4. 保育所の待機児童ゼロ作戦は、2001(平成13)年小泉内閣によって掲げられた。

5. 2016(平成28)年「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」によって、介護分野におけるICT等の活用とビッグデータの整備が提言された。

 

【解答・解説】
正解:2

 

解説:
2が正解です。1950年の社会保障制度審議会による勧告は、日本国憲法第25条(生存権)に基づき、戦後日本の社会保障制度の基本的な枠組みを確立した重要な文書です。

他の選択肢について:

1. 誤り:生活困窮者自立支援法の制定過程については、より複雑な経緯があります。

2. 正解:1950年の勧告は、社会保障制度の基本原則を定めた歴史的な文書です。社会保障の範囲、方法、定義、公的責任等を包括的に規定し、その後の日本の社会保障制度の発展の基礎となりました。

3. 誤り:介護保険制度の創設過程については、他の重要な経緯も存在します。

4. 誤り:待機児童ゼロ作戦の実施時期や内容について誤りがあります。

5. 誤り:ICT活用に関する記述に誤りがあります。

【補足説明】
この問題の重要なポイントは:

1. 社会保障制度の歴史的展開
– 1950年の勧告が戦後の社会保障制度の基礎を形成
– その後、各種制度が段階的に整備・発展

2. 制度の体系的理解
– 社会保険
– 公的扶助
– 公衆衛生・医療
– 社会福祉
という4つの柱による構成

3. 時代背景との関連
– 日本国憲法第25条との関係
– 戦後復興期における制度設計
– 現代までの制度発展の連続性

これらの理解は、現代の社会保障制度を考える上で重要な基礎知識となります。

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