では問題を解いてみましょう。
人権や福祉の考え方に影響を与えた人物に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 リッチモンド(Richmond, M.)は、『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』をまとめ、現在の社会福祉、介護福祉に影響を及ぼした。
2 フロイト(Freud, S.)がまとめた『種の起源』の考え方は、後の「優生思想」につながった。
3 マルサス(Malthus, T.)は、人間の無意識の研究を行って、『精神分析学入門』をまとめた。
4 ヘレン・ケラー(Keller, H.)は、『看護覚え書』の中で「療養上の世話」を看護の役割として示した。
5 ダーウィン(Darwin, C.)は、『人口論』の中で貧困原因を個人の人格の問題とした。
それでは回答です。
この問題の正解は「1」です。
解説:
1. リッチモンド(Richmond, M.):【正解】
– メアリー・リッチモンドは、ソーシャルワークの基礎を確立した人物
– 著書『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』は、個別支援の方法論を体系化
– 科学的な社会福祉実践の基礎を築き、現代の社会福祉・介護福祉に大きな影響を与えた
2. フロイト(Freud, S.):【不正解】
– 『種の起源』はダーウィンの著作で、フロイトの著作ではない
– フロイトは精神分析学の創始者で、『精神分析入門』などを著した
3. マルサス(Malthus, T.):【不正解】
– マルサスは『人口論』の著者で、人口増加と食料供給の関係を論じた
– 人間の無意識の研究は、フロイトの業績
4. ヘレン・ケラー(Keller, H.):【不正解】
– ヘレン・ケラーは『看護覚え書』を著していない
– 『看護覚え書』はナイチンゲールの著作
5. ダーウィン(Darwin, C.):【不正解】
– 『人口論』はマルサスの著作で、ダーウィンの著作ではない
– ダーウィンは『種の起源』を著し、進化論を確立した
重要ポイント:
– リッチモンドは、個別支援の方法論としてのケースワークを確立し、科学的な社会福祉実践の基礎を作った
– 社会福祉の専門性を高め、体系化に貢献した
– 現代の社会福祉実践に大きな影響を与えている
他の選択肢は、著者と著作の組み合わせが誤っているか、人権・福祉への影響という観点から不適切です。
リッチモンドさんについて
メアリー・エレン・リッチモンド(Mary Ellen Richmond, 1861-1928)の主な功績と人となりを簡潔にまとめます:
主な功績:
- ソーシャルワークの基礎確立
- 個別支援(ケースワーク)の方法論を体系化
- 科学的なアプローチの導入
- 『社会診断論』(1917)と『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』(1922)の出版
- 実践的な支援方法の確立
- クライアントの社会環境を重視
- 個人と環境の相互作用に注目
- 体系的な記録方法の確立
人となり:
- 幼くして両親を失い、祖母に育てられた経験から、社会福祉に強い関心
- COS(慈善組織協会)で活動し、理論と実践を結び付けた
- 貧困を個人の問題ではなく、社会的な問題として捉えた先駆者
- 福祉専門職の教育・訓練の重要性を説いた
現代への影響:
- ケースワークの基本原則は現代のソーシャルワークに継承
- 科学的な支援方法は、現在の介護福祉にも大きな影響を与えている
- 専門職としての社会福祉の確立に貢献
それでは動画で記憶を定着させましょう
我が家には猫も5匹いることを忘れなく!(ハグ)
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